DAISUKE UEHARA
上原 大祐
障害攻略エキスパート
2010年バンクーバーパラリンピック銀メダリスト。2012年にアメリカに渡り障がい児のスポーツ環境を学んだのち、引退後「NPO法人D-SHiPS32」を設立。障がい児に、スポーツ環境を提供したり、みんなが楽しめるユニバーサルビレッジを作り、誰もが夢に向かって挑戦できる社会を創造している。また企業ともコラボしながら、いくつもの商品開発を手がける。
2018年3月10日。虎ノ門ヒルズでユニークなイベントが開催されました。その名も”Techo School”(手帳スクール)。障害者手帳を持つ先生による、「最先端の働き方」を学べる学校です。
今日本は「働き方の転換点」に来ています。終身雇用が当たり前だった時代から、転職・副業/兼業も当たり前になっていく社会へ。ただし、多くのビジネスマンにとっては、会社員としてでは個人としてキャリアを築き上げるのは簡単な話ではありません。
手帳スクールで登壇した8人の先生方は、いい意味で既存の会社の枠にはまらなかった方々です。「はまれなかった」とも言えるかもしれません。就活で何十社と連続で落ちるのは当たり前。転職を繰り返しながら、自信を失いながらも、もがき苦しみ、ついに「会社に自分を合わせるのではなく、自分に社会を合わせる」を獲得しました。
例えば、寺田ユースケ先生。生まれつき脳性まひで、今は車椅子で生活をしています。寺田先生の経歴は異色そのものです。吉本興業に所属しながら「車椅子芸人」として活躍していたと思ったら、転身して歌舞伎町で「車椅子ホスト」にトライしたり、車椅子でヒッチハイクの旅に出たり。寺田先生のモットーは「自分を驚かせる働き方」です。
生まれつきに聴覚に障害がある今村先生の授業テーマは「企業に属せない働き方」。子どもの頃から父の影響で映画が大好きだった今村先生は、就職活動でマスコミを受けますが全て落ちてしまいます。
そこで一念発起し、自ら会社を立ち上げ、映画監督してのキャリアをスタートしました。今村先生の特徴は、聴覚障害者を含むいわゆる「マイノリティ」と言われる人にスポットライトを当てたドキュメンタリー映画を製作していること。これは今村先生にしかできない、企業に属せなかったという逆境から生まれた最先端の働き方なのです。
8人の先生方による授業は、聴いた生徒の心に刺さり、確実に一人ひとりの働き方に新しいヒントをもたらしました。是非今後のTecho Schoolにもご期待下さい。